「キャラクターを守る」商標登録完全ガイド|著作権との違いと登録のポイントを徹底解説

「自治体や企業でオリジナルキャラクターを作りたいけど、商標登録って必要なの?」
キャラクタービジネスを展開する際、多くの方が直面するのがこの疑問です。
著作権があれば十分だと思われがちですが、実はキャラクターの商標登録には大きなメリットがあります。
本記事では、キャラクターの商標登録について、著作権との違いや登録時のポイント、実際の登録手順まで徹底解説します。
目次
キャラクターは商標登録できるのか?
結論から言うと、キャラクターは商標登録できます。
キャラクターには著作権も発生しますが、商標権も取得することが可能です。むしろ、ビジネスとしてキャラクターを展開するなら、商標登録を強くおすすめします。
著作権と商標権の違いとは
キャラクター保護において、著作権と商標権には大きな違いがあります。
著作権の特徴
- イラストや音楽を作った瞬間から自動的に権利が発生
- 特許庁への申請や登録は不要
- イラスト、地図、音楽など感情を込めてつくったもの・創作物全般に適用
※文字のみでは権利は発生しない。
商標権の特徴
- 特許庁に申請し、登録されて初めて権利が発生
- 名前、文字、ロゴ、マークなどが対象
- 更新すれば永久的に権利を維持できる(5年または10年ごとの更新)
どちらもキャラクターを保護できますが、商標権には著作権にはない強みがあります。
なぜ商標登録が必要なのか?著作権だけでは不十分な理由
著作権が自動的に発生するなら、わざわざ商標登録する必要はないのでは?と思われるかもしれません。しかし、商標登録には以下のような重要なメリットがあります。
商標登録のメリット
1. 第三者への主張が容易
特許庁に登録されているため、「公的に認められた権利」として相手に主張しやすくなります。
著作権だと「どちらが先に作ったか」の証明が難しいケースもありますが、商標権なら登録日で明確に判断できます。
2. ECサイトでの保護がスムーズ
楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングなどのECモールでは、商標権を持っていると模倣品への対応が迅速に行われます。
プラットフォーム側も商標登録を重視しているため、権利侵害への対処がスムーズです。
3. 第三者による商標登録を防げる
商標登録していないと、全く関係ない第三者がそのキャラクター名やデザインを勝手に商標登録してしまう可能性があります。
後から取り消せる可能性もありますが、費用も時間もかかってしまいます。
文字とロゴ、どちらで登録すべき?
キャラクターの商標登録を検討する際
「文字(名前)とロゴ(イラスト)、どちらで登録すべきか?」という疑問が生まれます。
理想は両方取得することですが、予算の都合上どちらか選ぶなら文字(キャラクター名)での登録をおすすめします。
その理由は、イラストについては著作権で一定の保護が可能だからです。
最悪の場合、著作権で争うこともできます。
一方、名前(文字)は著作権では保護されにくいため、商標権での保護が重要になります。
また、文字で商標登録しておけば、ひらがな、カタカナ、アルファベットなど表記が違っても、読み方が同じであれば権利範囲に含まれる可能性が高いという利点もあります。
キャラクター商標登録の実務ポイント
複数のバリエーションがある場合の対応
キャラクターには表情やポーズが複数ある場合がよくあります。
この場合は、最もよく使用するデザインを確実に登録することが基本戦略です。
他のバリエーションは「類似範囲」として保護される可能性がありますが、予算があれば主要なバリエーションも追加で登録することをおすすめします。
区分選びが重要
商標登録では「どの分野でビジネスを行うか」を示す区分を選ぶ必要があります。
例えば:
- マグカップを販売するなら「商品」の区分
- キーホルダーを作るなら別の区分
- イベントやキャラクターショーを行うなら「サービス」の区分
区分は全部で45種類あり、それぞれに登録が必要です。
大阪万博の有名キャラクター「ミャクミャク」は、全区分で商標登録されていますが、一般的には実際に使用する区分だけで十分です。
予算を抑えたい場合は、まず主要な事業の区分で登録し、事業拡大に合わせて追加していく方法もあります。
ただし、後から追加しようとした時に他社に取られてしまうリスクもあるため、計画的な判断が必要です。
商標登録の注意点
使用実績が必要
商標登録後、3年間使用していない商標は取り消される可能性があります。実際に使う商標をしっかり選んで登録することが大切です。
国ごとの登録が必要
商標権は「属地主義」といって、登録した国でのみ効力を持ちます。海外展開を考えているなら、国際商標(マドリッド協定)を検討しましょう。
二次利用のガイドライン作成
キャラクターを広く使ってもらいたい場合、縛りすぎると広まりません。
「こういう使い方はOK/NG」というガイドラインを作成し、適切な二次利用を促進することも重要です。
商標登録の手順と期間
商標登録には以下の検討事項があります:
- 登録する内容: 文字かイラストか、両方か
- 区分の選定: どの事業分野で使うか
- 登録年数: 5年か10年か(長期事業なら10年がお得)
- 早期審査の利用: 通常5〜9ヶ月だが、早期審査なら2〜3ヶ月で結果が出る
これらの項目を明確にして弁理士に相談すれば、スムーズに手続きが進みます。
まとめ
キャラクタービジネスを展開するなら、著作権だけでなく商標登録も検討しましょう。
商標登録のポイント:
- キャラクターは商標登録可能
- 著作権と商標権は併用すべき
- 予算があれば文字とイラスト両方、なければ文字優先
- 実際に使う区分を選んで登録
- 海外展開なら国際商標も検討
- 3年間の使用実績が必要
自治体のゆるキャラや企業のマスコットキャラクターなど、キャラクタービジネスには大きな可能性があります。適切な知財保護で、安心してキャラクター展開を進めましょう。
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