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ゲーム業界と特許戦略|ポケポケのUI特許と訴訟リスクを徹底解説

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「ゲームに特許って本当に必要なの?」──そう思ったことはありませんか?
本記事では、人気ゲーム「ポケポケ」の事例を切り口に、ゲームにおける特許の基礎知識から、UI特許の具体例、任天堂とコロプラの訴訟など実際の事例までを分かりやすく解説します。サービスを守るために経営者や開発者が知っておくべき知財戦略を整理しました。

ゲームと特許の関係:なぜ知っておくべきか

ゲームやアプリは一見「アイデア勝負」の世界に見えますが、裏側では特許の存在が非常に大きな意味を持っています。

特許は、新しい技術や仕組みを独占的に使用できる権利です。たとえばゲームがリリースされてから特許を出そうとしても、公開済みであれば「新規性を失った」とみなされ、取得できないのが原則です。
そのため、リリース前に出願することが鉄則とされています。

👉 参考:特許庁「特許出願の基礎知識」
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutsugan/kihon/index.html


「ポケポケ」のUI特許とは?

ポケポケでは以下のような動きに特許が出願されています。

  • カードパック開封のUI:指でスライドして開封するとカードが出現する演出
  • カード図鑑登録の仕組み:新しいカードがどれか分かりやすく整理され、未取得カードとの比較もできる

こうした仕組みは単なる演出に見えますが、ユーザー体験を高める「技術」として特許化されます。

同様の事例は他のサービスにもあり、

  • PayPay:決済画面がくるっと回転して相手側に向く動作
  • iPhone:「ビヨーン」と跳ね返るスクロール(バウンスバック機能)

なども代表的なUI特許です。

👉 参考:Appleのバウンスバック特許(WIRED Japan)
https://wired.jp/2012/07/20/apple-patent-bounce-back/


システム特許の代表例

ゲームだけでなく、日常で使うサービスにも特許が数多く存在します。

  • Amazon「ワンクリック特許」:購入ボタン1つで決済完了できる仕組み
  • ニコニコ動画:動画上にコメントを流すUI
  • レンタル返却システム:自動で貸出・返却を処理する仕組み

これらはすべて「便利さを生む仕組み」を特許として守る発想です。

👉 参考:Amazon「ワンクリック特許」に関する記事(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGN07H0F_X00C17A6000000/


特許を取るメリット

特許を取得すると、以下のようなメリットが得られます。

  1. 独占的に利用できる:模倣を防ぎ、自社の差別化を確保できる
  2. 交渉の武器になる:クロスライセンス(相互利用契約)で取引や提携を有利に進められる
  3. 訴訟リスクを低減できる:他社に「使わせてもらう代わりにこちらも提供する」という交渉が可能

特許は単なる防御手段ではなく、ビジネス交渉力を高めるカードにもなる点が重要です。


ゲーム業界に多い特許訴訟

ゲーム業界では過去に数々の特許訴訟がありました。

  • 任天堂 vs コロプラ:「白猫プロジェクト」の操作方法を巡り、30億円超の和解金
  • サイゲームス vs コナミ:ゲームシステム特許を巡る争い

これらの事例は、アイデアやUIそのものが法廷で争われるほど価値を持つことを示しています。

👉 参考:任天堂とコロプラ訴訟(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/04/news170.html


アイデア段階でも特許は取れる

特許は完成品がなくても出願可能です。
「こういう仕組みを思いついた」というレベルでも、出願要件を満たせば権利化できます。

これにより、個人発明家でも大企業と同じ土俵に立てる一方、特許権だけを持ち込み訴訟やライセンス料で稼ぐパテントトロールのリスクも生まれています。

👉 参考:経済産業省「特許トロール問題」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/innovation/chizai.html


まとめ:ポケポケから学べる特許戦略

  • ゲームやアプリのUIは「特許で守れる」
  • リリース前の出願が基本ルール
  • 特許は自社防御だけでなく「交渉カード」にもなる
  • ゲーム業界は特許訴訟が頻発するため特に注意
  • 個人でもアイデア段階で出願可能だが、パテントトロールへの警戒も必要

ポケポケの事例からも、特許はゲームやエンタメだけでなく、あらゆるビジネスの「目に見えない資産」であることがわかります。
サービスや製品を守りたい経営者・開発者は、早めに特許戦略を取り入れることをおすすめします。


👉 参考動画:【ポケポケから学ぶ】知らないと損?!ゲーム特許の世界とは – YouTube


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